旧 山 邑 邸


芦屋市山手町3  撮影:1999年11月14日

旧山邑邸の内部とアプローチからの眺望
撮影:1999年11月28日


 阪急・芦屋川駅の400mの芦屋川東岸にある旧山邑邸だ。昭和22年(1947年)からは淀川製鋼所の持ち物になってて、「ヨドコウ迎賓館」って名前になってる。

 日本では帝国ホテルの設計者として有名なアメリカの建築家フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright: 1867-1959) )が設計した住宅で、大正13(1924)年に酒造業(桜正宗)・山邑氏の別荘とし竣工した。設計は大正7(1918)年で、ライトの滞在中には工事は行われず、彼の高弟たちによって建設されたそうだ。

 ライトが設計した住宅としては、日本にはこれしか残ってなく、国の重要文化財に指定されてる。コンクリート造りの重要文化財って珍しいのではないかと思う。

 芦屋の高台の見晴らしのいい場所で、しかもあんまり駅から遠からず、非常にいい場所だ。芦屋川駅からは坂が急だから、歩くのはちょっとしんどいけどね。(笑)
 大正13年(1924年)ってば、もう阪急・芦屋川駅は利用できたけど、玄関のアプローチ前がかなり広いから、当時から車の利用が前提だったんだろう。

 建築家のバイブルになってる建物が日本に三つほどあるそうだが、この住宅もその一つだ。
 初めて実際にこの建物を見た建築家が「さすがにいい場所を選んでますね」とのたまった。川のそばで見晴らしがよく、しかも強固な地盤の場所を選んでるとのことだ。立地に関してもライトの意見が入ってるってのは建築界ではよく知られたことらしい。

 しかし、さすがに長い年月の間には地盤沈下などを起こし、建物に被害を与えたので、何度か補修はされている。また、住居だから、当然、創建時より改変されてたが、現在は照明器具とか細かい部分まで、できる限り建築当時に近い姿に再現されているそうだ。

 上から2番めの写真は芦屋川の対岸の山芦屋町から撮った旧山邑邸だ。こうしてみるとまるで山城だ。広角レンズを使ったのでちょっと小さかったなぁ。(^^;)

 この建物も平成7年(1995年)の阪神大震災では大きな被害を受けた。地面ごと揺すられたのだから、被害は基礎部分から建物の各所にまで及んだと聞いている。しかし、修復されて今もその姿を目にすることが出来るのは幸いだ。


 内部の撮影許可を貰ってので、撮って来た。建物は傾斜地を利用しての4階建になってて、2階と3階とは緩やかな階段で結ばれてる。室内に入ると、昨年(1998年)阪神大震災の被害の修復を終えてオープンしたばかりなので、室内の塗装はまだ真新しかった。

 上の2枚の写真は2階の応接間だ。東西に大きな窓、北に暖炉、南側の窓からは芦屋の海が見渡せる。この日もはるか南にあるシーサイドタウンまでよく見えていた。もっとすっきりした天気なら、大阪湾の対岸の和歌山方面の山から淡路島まで見えるはずだ。

 東西の窓を開け放てば、芦屋の西風がよく通り、夏の暑さからも逃れらるだろう。訪れたのは夕方近くだったが、柔らかな夕日が射し込んでいた。

 また、洋館ではあるが、日本人の住居ということでいくつかの和室も作られてる。メイドたちの部屋(昔は女中部屋と言ったらしい)ももちろん畳敷きだ。





戻 る トップ